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11月 23, 2015

来年のCoP17サイテス締約国会議で挙がるとされる種について。

Posted in : まねーじゃーブログ, 未分類 on by : リミックス


2016年9月南アで開かれる第17回ワシントン条約締約国会議にて議題に挙がると
されている生き物のうち、特に我々に関係する種についての考察と雑感。

サイケデリックロックゲッコウ(ゲンカクマルメスベユビヤモリ) Cnemaspis psychedelica
ベトナム南西端、カマウ岬の沖合にある景勝地で有名らしい小島コアイ島で見つかり、2010年に
まだ新種記載されたばかりのヤモリ。超局所的分布で体色が美しいときているので、これもペットト
レードの捕獲圧を懸念しての提案かと思われます。Ⅱ類かデータによっては一発Ⅰ類か・・・。
世界的に流通したのは昨年の僅かですが、このままもう見ることのできぬままお蔵入り種となるかも。

クロイワトカゲモドキ Goniurosaurus kuroiwae ssp.
・クロイワトカゲモドキ Goniurosaurus k. kuroiwae
・マダラトカゲモドキ Goniurosaurus k. orientalis
・オビトカゲモドキ Goniurosaurus k. splendens
・イヘヤトカゲモドキ Goniurosaurus k. toyamai
・クメトカゲモドキ Goniurosaurus k. yamashina
言わずもがな。
我が国、琉球固有のゴニですが、国内法では触れることさえ厳禁の天然記念物指定されているにも
関わらず、(恐らく不法に)持ちだされた欧米では普通にCB化されて普通に販売されています。
法律だけ作って 特に保護らしい保護政策をしない日本もどうかと思いますが、国際取引に制限をかけ
て不法な持ち出しに歯止めをかけたいのでしょう。

マソベササクレヤモリ Paroedura masobe
記載されてまだ20年、ペットトレード上に現れて15年ほどのこちらも、マダガスカルの国立公園内の
ひとつの森にしか棲息していない局所分布種で、ごく稀に飼育下繁殖例もあるものの、コンスタントな
CB化には至っておらず、流通のほぼ100%がWCですので捕獲圧が懸念されて当然と言えば当然
かと。 激減しているデータなどが提出されると、ロゼッタカメレオンの時のようにいきなりⅠ類該当もあり
えますね、これは。

ダウディンイロワケヤモリ(グレナディーンイロワケチビヤモリ) Gonatodes daudini
2005年に記載されたばかりのカリブの島国セントビンセント及びグレナデーン諸島に産する個性ある
独特の体色が衝撃的な小型美種で、この類恒例のペット目的捕獲圧軽減策が取られるのではないか
と思われます。
ただ、同じ様な島モノのゴナトデスで今までサイテス該当種はなくすべて非該当。ただ本種が特に生息
密度が薄いとか局所分布だとか調査で劇的に減っているとかであれば指定もありうると思います。

クロクチカロテス Calotes nigrilabris
トガリハナツノトカゲ Ceratophora stoddartii
セイロンオマキキノボリアガマ(セイロンコモチアガマ) Cophotis ceylanica
コブハナアガマ Lyriocephalus scutatus
たまに流通するスリランカ固有のレアなアガマ類ですね。
そもそも保護されている筈ですが、特にヨーロッパで出まわります。中にはごく僅かにCB化された種も
いますが、WCも流通することから、とりあえず附属書Ⅱ類に入れて国際取引に制限をかけ、捕獲圧を
無くそうと言う事でしょう。

クシトゲオイグアナ(バナナスパイニーテールイグアナ)Ctenosaura pectinata
非該当から順にサイテス入りして行くクテノサウラ。いよいよ人気のバナスパもその洗礼を受ける時が来
てしまうかも知れません(><)日本国内でも狙っているブリーダーは多いものの、なかなか殖えた話が聞
こえてきません。Ⅱ類該当となれば海外からの輸入は激減し、高騰は間違いありませんから、ぜひ早急
な国内CB化を望みたいところです。

オオアオジタトカゲ Tiliqua gigas ssp.
・オオアオジタ(セラムアオジタ、ハルマヘラアオジタ、アンボンアオジタ)Tiliqua g. gigas
・メラウケアオジタ(イースタンパプアアオジタ)Tiliqua g. evanescens
・ケイアオジタ Tiliqua g. keiensis
そもそもインドネシアの保護対象となっているにも関わらず、多くのWCが流通してしまっている現状に
規制をかける目的でしょう。思えば大型スキンクとしては同じオセアニア圏のソロモンオマキトカゲが
サイテス該当種となって久しいですね。
CB化されてはいるものの、安価なこともあり流通の大半をWCが占めていますので、野生個体の生息数
が減っているのであれば、サイテス該当はきっと避けられません。
ご存知のようにアオジタトカゲ類は適度なサイズ感があって、雑食で活餌要らずのペットリザードとしてか
なりの人気種。とは言え属内のほとんどの種が、一切の輸出を禁止しているオーストラリアに産するために
WCが流通することがなく、飼育下繁殖の難しい種は少数が世界的にも高額で流通しています。
価格も手頃なポピュラー種としては豪州産では唯一完全にCB化されたキタアオジタのみ、そしてあとは
ハスオビアオジタの亜種キメラアオジタと本種のインドネシア産3亜種が担っているだけに、今回聞こえる
話で我々の業界に最も影響のある事案です。

ニューギニアカブトガメ Elseya novaeguineae
※シュルツカブトガメE. schultzi(説によりシノニム扱い)含む
オセアニア圏の曲頸類としては最も安価にたくさん流通していたので私も知りませんでしたが、どうや
ら本種もインドネシアにて保護の対象となっているらしく、食用とペット目的両方で捕られて減っている
ことで今回挙がっている模様です。確かにもう既に捕れなくなっているのでしょう、以前よりも一度に大量に
輸入されることがなくなっています。マッコードナガクビに続く形で決まりそうですね・・・。

イボイモリ属全種 Tylototriton spp.
キメアライボイモリ T. asperrimus
ハイナンイボイモリ T. hainanensis
コイチョウイボイモリ T. kweichowensis
ヤンイボイモリ T. yangi
ミナミイボイモリ T. shanjing
アカミミイボイモリ T. taliangensis
アメイロイボイモリ(モトイボイモリ) T. verrucosus
ベトナムイボイモリ T. vietnamensis
シセンイボイモリ T. wenxianensis
T. anguliceps
T. broadoridgus
T. dabienicus
T. liuyangensis
T. lizhenchangi
T. notialis
T. panhai
T. pseudoverrucosus
T. shanorum
T. uyenoi
T. ziegler
これもいよいよ来ちゃった感のある事案ですね。陸棲で捕獲し易く、繁殖期にはたくさん集まる産卵
場所で一網打尽も可、アメイロ以外ではコンスタントなCB化もされてない、属内の数種の主な棲息
地である中国ではそもそも保護対象の筈・・・と国際取引が規制される理由には困らないでしょうし、
これで生息調査で激減しているデータ等が出されれば該当も避けられないかと思われます。
これを機会に、似たようなニッチの欧州のファイアサラマンダー類のようにCB化が進んでペットトレード
に供給される形で健全化すると良いのではと思います。

他にも、ボルネオ島の具体的な生息地の発見により、欧米を中心に流通するようになったミミナシオオ
トカゲ(ボルネオミミナシトカゲ)
Lanthanotus borneensis
や、またもアジアンタートルクライシスの影
響で、ムツイタガメ Notochelys platynotaの附属書Ⅰ類該当も検討される模様です。

また、局所分布種で大量に捕られて安価に流通しているアオマルメヤモリ(ターコイズブルーゲッコウ)
Lygodactylus williamsi も当然ながら名前が挙がってきてます。こういった類の例に漏れず、こちらも
一撃サイテスⅠ類該当が濃厚です。

※爬虫類ですが、ブッシュバイパーやアダー等クサリヘビ科の毒蛇数種については割愛。

ちなみにアクア関連では、一部では既に報道されているウナギ属 Anguilla 2種(主に食用目的の
取引)、オウムガイ2属 Nautilus、Allonautilus のサイテスⅡ類指定が検討される模様です。

サイテスは決議後90日で施行されますので、該当となった種は2017年2月から取引制限される
(種によっては事実上商取引禁止とされる)こととなります。
ここに記載したのは、あくまでも聞こえ漏れてくる情報や、提出された検討書類、中には耳にする
ウワサ話の範疇です。決定事項ではありません。
ただ、泣いても笑っても1年後には決まっていますので、この先もっと具体的なインフォも春くらい
から出てきますから、最新情報に耳を傾けながら、愛好家の飼育種の選択の参考になればと思い
ます。

※11/23 最新情報
EUにて以下の種が要検討事案として挙がっていることが判明しました。

イロカエカロテス Calotes versicolor

カンガルートカゲ Otocryptis wiegmanni

キノボリアリゲータートカゲ(アブロニア)の仲間7種
Abronia campellii
Abronia deppii
Abronia fimbriata
Abronia gaiophantasma
Abronia lythrochila
Abronia martindelcampoi
Abronia taeniata

ニュージーランド産のヤモリ数種
Dactylochnemis pacificus
Mokopirirakau granulatus
Woodworthia brunneus
Woodworthia maculata

コノハヤモリ2種
Saltuarius spp.
Saltuarius salebrosus
Saltuarius wyberba

マツカサトカゲ
Tiliqua rugosa

これは・・・特にアブロニアとマツカサトカゲは衝撃的ですね・・・。